そもそも「がん」とは何でしょうか?

私たち人間の体はたった1つの受精卵からスタートし、この1つの細胞が分裂と増殖を繰り返した結果として作られたものです。出来上がった多数の細胞は、様々な臓器や組織に専用の細胞へと変貌を遂げていきます。これが「分化」です。

 J-TECより引用https://www.jpte.co.jp/introduction/tales/03/index.html

そして臓器や組織が完成すると、細胞は分裂を停止させ「再生命令」が出ない限り細胞は分裂や増殖をすることはありません。

ところが、細胞内の遺伝子の一部が傷ついたりすると、その細胞が再増殖を開始するのです。このときの細胞分裂は暴走し無秩序に周囲の組織に侵入していくのです。この「暴走化した細胞」こそが「がん」なのです。がんこそは多細胞動物(人、犬、猫はもちろん鳥類、爬虫類、両生類、魚類、ショウジョウバエ、植物、なんと恐竜まで腫瘍の化石が見つかったそうです。)であれば避けて通れない「宿命的病気」なのです。

 国立がん研究センターより引用https://ganjoho.jp/public/knowledge/basic/index.html

さて、秩序ある分裂の時は、分裂へのアクセルとブレーキが働いておりコントロールが効いています。しかし、遺伝子が傷つくことでアクセルを踏み込んだままの状態になり、際限なく細胞が分裂しがん細胞となり周囲の正常細胞を破壊していきます。

免疫療法コンシェルジュより引用

遺伝子の暴走はいつ起きるの?

遺伝子の役割を持つ物質はDNAと言います。このDNAを傷つけ破壊するものはすべて細胞をがん化させます。よく聞く発がん物質はDNAを傷つけて、細胞をがんにしてしまいます。

また細胞内の「エネルギー工場」とも言われるミトコンドリアもがんに深く関係しています。ミトコンドリアは、運動や消化などのための様々なエネルギーを生み出しています。私たちにとってミトコンドリアは不可欠なものです。しかし、このような大切な役割を持っているにも関わらず私たちに重大な問題を引き起こすことがあります。ミトコンドリアが、エネルギーを生み出す過程で「活性酸素」(酸素フリーラジカル)を発散させ、それがDNAを傷つけるのです。

東京キャンサークリニックより引用

水素本舗東京より引用

http://www.suisohonpo.com/user_data/suisosui.php

もちろん放射線も体内を通り抜けることでDNAを破壊します。さらに皮膚が紫外線を吸収しても皮膚細胞のDNA損傷が起きる可能性があるのです。このように様々な要素がDNAを傷つけるのですが、通常は私たちの体がDNAの傷を治します。仮に修復不可能な状態まで壊れた場合は、細胞が自ら死ぬシステムを持っているのです。これらは人間が持つ防衛機能ですが、このようなシステムをかいくぐった細胞が、がん細胞へとなるのです。

筑波大学附属病院 放射線腫瘍科より引用

http://www.pmrc.tsukuba.ac.jp/radioncology/about_radiation_therapy/mechanism/

がんとその他の病気との違いは何でしょうか?

がんは、その他の病気と決定的に異なる点があります。例えばアルツハイマーは大脳の萎縮が引き起こす難病で、薬がありません。またALSは神経が侵され、全身まひに至る難病です。これらは特定の箇所や臓器が壊されます。またインフルエンザ、コロナなどは外から侵入したウィルスや細菌が引き起こす病気です。いわゆる感染症です。

静岡県立大・鈴木隆教授より引用

https://www.at-s.com/news/article/featured/culture_life/kansen/755247.html

ところが、がんはこれらにあてはまりません。がんは特定の臓器の病気でもなく、感染症でもないわけです。アメリカ国立がん研究所(NCI) によると、がんは「細胞が増殖する過程で生じる100種類以上の病気の総称」なのです。簡単にいうと、がんは外からの敵ではなく自分自身が生み出したものなのです。自分の一部にもかかわらず、ひとたび生れ落ちると牙をむき体を浸食します。最終的に人を死なせ、がん自身も死ぬという自爆を行うのです。他からのコントロールを受けずに自律的に増殖することが最大の特徴なのです。

体にやさしい漢方がん治療より引用

https://www.1kampo.com/cancer.html

がんを治療するために、抗がん剤や放射線治療などを使いますが、使っていく過程で抵抗力の強いがんが生まれ、耐性を持つことも厄介な側面です。そしてパワーアップしたがん細胞が増殖し始めるので、がんを単に殺すことや除去ではなくがん細胞の増殖や転移をさせないことにあるのです。